CASEBOOK:009 矯正治療
アライナー矯正 マウスピース矯正についての注意喚起 PART2
マウスピース矯正の見解(矯正歯科学会)第2版を公表
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日本矯正歯科学会(齋藤功理事長)は、「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」第2版を7月15日に公表した。適切な診察や検査、分析、診断、治療経過の確認が行われていないものは危険とし、不明な点はかかりつけ歯科医への相談を勧めている。
見解では、①「技工物としての体裁(ていさい)を整えているが、適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認が行われていないアライナー矯正」と、②「雑品を用いたアライナー矯正」の注意点を指摘。矯正治療で一度誤った歯の移動を行うと、改善するには長期間を要し、矯正治療の難易度が高くなると警鐘を鳴らしている。
①、②の注意点は次の通り。
- 大手運送業者と提携し、アライナーを直接患者様に配送して、矯正歯科医(矯正歯科に関わる専門的研修を修了している歯科医師)による適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認を疎かに行ったアライナー矯正は、予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があり歯科医学的観点から非常に危険です。
- 医療機器として認められていない機器で作製されたアライナー(雑品)を用いて歯の移動を行っている歯科医院が多く存在します。医療機器として認められていない機器で作製されたアライナー(雑品)による歯の移動結果は保証されず、アライナー(雑品)使用後の噛み合わせの不具合等は、歯の移動を行った歯科医師が全責任を負うことになります。また、雑品と知りつつ歯の移動処置を受けた患者様にも、長期の治療期間を経ても適正な歯の移動結果が得られない等の不利益が生じる可能性があります。
日本歯科新聞より
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- 当医院の見解
アライナー(マウスピース)矯正についての注意喚起を、第2段まで出すほどですので、気を付けて欲しいということですね。
それは我々医院としても、確かに思うところではあります。最近、アライナー(マウスピース)矯正のトラブル特集も専門誌に組まれるぐらい!トラブルは多くなってきています。
学会の見解は、マウスピース矯正を医療機器でなく『雑品』という位置付けとして表現しています。
雑品は、『こまごました品物』という意味なのですが、言葉自体に『雑』という単語が入っているため、イメージ的に良い印象を与えない傾向が見え、マウスピース矯正『全て』を悪いイメージとして読者が捉えてしまいがちですし、矯正学会がマウスピース矯正に好意的ではないとも見てとれます。
あくまでアライナー(マウスピース)は、雑品であり、医療機器ではない扱いなので気を付けるようにと説明されています。
しかし現実、床矯正やワイヤー矯正でも歯の全てをコントロール下に置くことは難しく、ワイヤー矯正だから全くトラブルが起きないという訳でもありません。また過去の事例から見て、医療機器と認められているから大丈夫というわけでもなく、矯正歯科医だからトラブルが起きないわけでもないとも言えますし、我々も正直に言うとトラブルが起きないとは言い切れません。
全ては『良い結果』にたどり着くために、『解決できる技術』を持っているかどうかで決まると思います。
そもそも矯正は『全ての歯』を触りますので、非常に難しい上、かなりリスクある治療であり、奥が深いものになりますので、矯正する前に患者様も『リスク』と『ゴールの設定』を何処にあるか、よく知って頂くことが重要だと思います。
あとは我々もそうですが、『責任もって対処する』ことだと思っています。